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二話目です。

「家族ごっこ2」

電話のベルで目を覚まし、明神はむっくりと起き上がった。

既に二度のコールを聞き流した。

次で三度目。

あまりこのうたかた荘に電話がかかって来る事はない。

十味は用事があれば電話ではなくうたかた荘まで来る事の方が多いし、あっても月に数回決まった人間から。

「アパートを利用したいんですけど」なんて電話は久しく、ここ数年はかかってきていない。

ので、どうせ湟神か白金か…たまの臨時収入的な美味しい話ならいいなと思いながら、寝ぼけた頭で受話器を掴んだ。

四度目、五度目。

チン。

「はい、うたかた荘。…はい?」

寝ぼけた明神は、寝ぼけたまま間抜けな声をあげた。

「え?は?う?…あ!…ああ。そういう事か。」

「いえ、いえいえ、えーっと、はいそうです…かな。」

「いえ、はいはいそうですそうです。」

「いえ、間違いじゃないです。姫乃の従兄の。はい。で、立てない感じなんですね。わかりました、迎えに行きます。」

チン、と黒電話が鳴る。

明神は大慌てで外出の準備を始めた。

その様子を見て、子供達がひょいと壁から顔を出す。

「どうした?明神。」

「みょーじん、起きるの遅い!ご本読んで!」

「あ、アズミごめんな。ちょっと急ぎだひめのんまた熱出たってさ。」

「い?治ったんじゃなかったのか?」

「ぶりかえしたんだろ。何かフラフラしてるらしいから、迎えに行って来るわ。」

話しながらも明神はパッパと身支度を整える。

とは言え寝癖の頭を直し、顔を洗って歯を磨いて、服を着替えて、という程度で。

うろうろとあちこち歩き回る明神の足元に、アズミが近寄りジーンズのズボンをくい、と引っ張る。

「ひめの、またびょうき?」

「うん。そうだって。直ぐ帰ってくるから、お留守番よろしくな。」

「…あーい。」

屈んで、小さなアズミの頭を撫でると明神は勢い良く玄関へ向かった。

「じゃあ行って来るわ。」

「おう。」

「らっしゃーい…。」

幽霊の二人に見送られ、明神はいざ学校を目指し全速力で走り出した。


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