日々の事等
最近微妙に忙しくてバタバタしています。
時間的に余裕が全く無いわけではないのですが、少々予定が詰まってきているというか、やる事が増えてしまったというか…。
とにかく毎日無駄に二時とか三時まで起きているのを先ず何とかしたいです!
あとあと、拍手をぽちぽちと押して下さった方、ありがとうございます!!
凄く励みになっております!!
では、以下三話目です。
「家族ごっこ3」
「あ、こちら咲良山高校ですけれど、うたかた荘…でしょうか?桶川姫乃の兄がそちらにいらっしゃいませんか?」
「え?あの、桶川が熱を出して…え?あの従兄がそちらにいらっしゃると聞いたので。」
「電話、間違えましたか?え?合ってますか?お兄さん?」
「ああ、そうです…か?なら。はいちょっと熱が高くてフラフラしてて危ないので。」
電話での保険医の対応を、姫乃はベッドの中で緊張しながら聞いていた。
いくら何でも急に「姫乃の兄はいらっしゃいますか?」と聞けば、明神も先ずは「は?」と言うだろう。
熱があって動けない事が伝われば、何故そんな遠まわしにSOSを出したのかは解ってくれるだろうとは思いながらも、やはり少し心配だった。
「桶川さん、従兄さん直ぐ来てくれるって。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
仕切りのカーテンをちらりとめくって保険医が声をかけた。
姫乃がぼんやりしながら礼を言う。
「お従兄さん、寝ぼけてたみたいよ。声が半分寝てた。」
「あはは。アパート経営なんで…いつもそんな感じです。のんびりしてて。」
「いいわね~。気ままな自営業、って感じで。」
「経営はいっぱいいっぱいなんで、そうも言ってられないんですけど…。」
まさか本業は深夜が多いので、何て事は説明出来ない。
昼間ゴロゴロしている明神を想像しながら姫乃は適当に答えた。
一度目を閉じ、数分うとうとしていると、もう一度カーテンが開いて保険医が顔を覗かせた。
「そろそろ教室から鞄取って来なさいね。もう少し時間はあるだろうけど。」
「ああ!そうですね、でも…兄は足が速いから、もう間に合わないかも。」
と、その時。
「すみません、失礼します。」
声と共に入ってきたのは用務員。
「あの~。若い兄さんが猛ダッシュで入ってきて、引き止めたらここに用事があるって。一応付き添って来ました。」
その言葉の後に、用務員より頭一つ半程背の高い、白い髪が顔を覗かせる。
一瞬「ぎょ」っとする保険医。
その反応に、入り口は見えなくても明神がやって来た事は一目瞭然だった。
説明がややこしくなる前に、姫乃は立ち上がるとその姿を確認する。
「あ!えっと…お従兄さん。」
口をついて出そうになった「明神さん」は飲み込み、代わりに兄と呼んでみる。
明神がちゃんと応えてくれるか賭けではあったけれど。
「お、姫乃。迎えに来たぞ。」
ちゃんとこちらの意図は汲んでくれている。
へらりと笑って手をふる明神。
姫乃はほっとした。
そのやりとりを見て、安心した用務員は一礼して去っていき、残された明神達は保険医に挨拶すると保健室を後にした。
ほてほてと歩く姫乃の一歩後ろを明神はついていく。
先に行かないのは、ふらつく姫乃をいつでも支えられる様にと、学校の中を良く知らないからと。
一旦姫乃は自分の教室まで鞄を取りに行く。
明神はそれを廊下で待っていた。
教室の中からの視線を何となく避け、少し離れた所で。
戻ってきた姫乃と一階まで戻り、靴箱まで移動する。
姫乃は上履きを片付け靴を足に通すと、つま先をトントン、と蹴って足に収める。
校門を抜けて、学校が見えなくなった頃、今までずっと黙ってた明神が、黙ったまま姫乃の前に屈んで「ん」と言った。
「…へへ。」
その背中に姫乃がしがみつくと、何の重みも感じていない様な動作で明神が立ち上がる。
「ありがとう、結構、歩くのしんどかったぁ。」
そう言ってへにゃりと笑う姫乃。
「なら言えばいいだろ?」
「学校から離れるまでは、ちょっと恥ずかしいなって思って。そろそろかな~って思ったら、明神さんが、しゃんがんでくれたから、良かった~って。」
「そっか。…でもびっくりしたぞ。電話かかってきた時。」
「あ、ごめんね。いきなり従兄とか言われてびっくりしたでしょ。」
「まあ、それもあるけど熱が高くてって。」
「ああ。でも、明神さんが来てくれたから、もう平気。」
姫乃はそこで目を閉じた。
このまま、明神におぶさっていれば自動的にうたかた荘までたどり着く。
そう思うとどんどん気が抜けていく。
「まあ、そりゃいきなり兄貴呼ばわりされたのもびっくりしたけどね。説明できなかったんだろうなって思ったから。」
「…うん。良かったよ。明神さんが直ぐわかってくれて。」
「ひめのんにおにいさん、って言われたのもちょっと動揺したなあ。」
「そうなの?凄く普通にしてる様に見えたよ。」
「内心、どきっとした。オレ妹とか居ないし。」
「…おにいちゃん。」
「落とすよ?」
「あ、嘘。明神さん。」
姫乃はふふふと笑って、明神の肩に顔を埋める。
明神が口を尖らせ拗ねた顔をする。
姫乃はそれを背中越しに感じながら、両手でしっかりとしがみついた。
「私もねえ、口が変な感じしたよ。一人っ子だったし。」
「おー、そうかそうか。」
「いいなあ。こんなお兄さんいたら、私甘えちゃうなあ。」
「ほー、そうかそうか。」
「おにいちゃん~。」
「何だ妹よ。」
「おにいちゃん~。」
「おう、何だ妹よ。」
「おんぶ~。」
「してるだろ?」
姫乃の相手を軽くしながら、「酔っ払ってるみたいだな」と明神は思った。
「あ、こちら咲良山高校ですけれど、うたかた荘…でしょうか?桶川姫乃の兄がそちらにいらっしゃいませんか?」
「え?あの、桶川が熱を出して…え?あの従兄がそちらにいらっしゃると聞いたので。」
「電話、間違えましたか?え?合ってますか?お兄さん?」
「ああ、そうです…か?なら。はいちょっと熱が高くてフラフラしてて危ないので。」
電話での保険医の対応を、姫乃はベッドの中で緊張しながら聞いていた。
いくら何でも急に「姫乃の兄はいらっしゃいますか?」と聞けば、明神も先ずは「は?」と言うだろう。
熱があって動けない事が伝われば、何故そんな遠まわしにSOSを出したのかは解ってくれるだろうとは思いながらも、やはり少し心配だった。
「桶川さん、従兄さん直ぐ来てくれるって。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
仕切りのカーテンをちらりとめくって保険医が声をかけた。
姫乃がぼんやりしながら礼を言う。
「お従兄さん、寝ぼけてたみたいよ。声が半分寝てた。」
「あはは。アパート経営なんで…いつもそんな感じです。のんびりしてて。」
「いいわね~。気ままな自営業、って感じで。」
「経営はいっぱいいっぱいなんで、そうも言ってられないんですけど…。」
まさか本業は深夜が多いので、何て事は説明出来ない。
昼間ゴロゴロしている明神を想像しながら姫乃は適当に答えた。
一度目を閉じ、数分うとうとしていると、もう一度カーテンが開いて保険医が顔を覗かせた。
「そろそろ教室から鞄取って来なさいね。もう少し時間はあるだろうけど。」
「ああ!そうですね、でも…兄は足が速いから、もう間に合わないかも。」
と、その時。
「すみません、失礼します。」
声と共に入ってきたのは用務員。
「あの~。若い兄さんが猛ダッシュで入ってきて、引き止めたらここに用事があるって。一応付き添って来ました。」
その言葉の後に、用務員より頭一つ半程背の高い、白い髪が顔を覗かせる。
一瞬「ぎょ」っとする保険医。
その反応に、入り口は見えなくても明神がやって来た事は一目瞭然だった。
説明がややこしくなる前に、姫乃は立ち上がるとその姿を確認する。
「あ!えっと…お従兄さん。」
口をついて出そうになった「明神さん」は飲み込み、代わりに兄と呼んでみる。
明神がちゃんと応えてくれるか賭けではあったけれど。
「お、姫乃。迎えに来たぞ。」
ちゃんとこちらの意図は汲んでくれている。
へらりと笑って手をふる明神。
姫乃はほっとした。
そのやりとりを見て、安心した用務員は一礼して去っていき、残された明神達は保険医に挨拶すると保健室を後にした。
ほてほてと歩く姫乃の一歩後ろを明神はついていく。
先に行かないのは、ふらつく姫乃をいつでも支えられる様にと、学校の中を良く知らないからと。
一旦姫乃は自分の教室まで鞄を取りに行く。
明神はそれを廊下で待っていた。
教室の中からの視線を何となく避け、少し離れた所で。
戻ってきた姫乃と一階まで戻り、靴箱まで移動する。
姫乃は上履きを片付け靴を足に通すと、つま先をトントン、と蹴って足に収める。
校門を抜けて、学校が見えなくなった頃、今までずっと黙ってた明神が、黙ったまま姫乃の前に屈んで「ん」と言った。
「…へへ。」
その背中に姫乃がしがみつくと、何の重みも感じていない様な動作で明神が立ち上がる。
「ありがとう、結構、歩くのしんどかったぁ。」
そう言ってへにゃりと笑う姫乃。
「なら言えばいいだろ?」
「学校から離れるまでは、ちょっと恥ずかしいなって思って。そろそろかな~って思ったら、明神さんが、しゃんがんでくれたから、良かった~って。」
「そっか。…でもびっくりしたぞ。電話かかってきた時。」
「あ、ごめんね。いきなり従兄とか言われてびっくりしたでしょ。」
「まあ、それもあるけど熱が高くてって。」
「ああ。でも、明神さんが来てくれたから、もう平気。」
姫乃はそこで目を閉じた。
このまま、明神におぶさっていれば自動的にうたかた荘までたどり着く。
そう思うとどんどん気が抜けていく。
「まあ、そりゃいきなり兄貴呼ばわりされたのもびっくりしたけどね。説明できなかったんだろうなって思ったから。」
「…うん。良かったよ。明神さんが直ぐわかってくれて。」
「ひめのんにおにいさん、って言われたのもちょっと動揺したなあ。」
「そうなの?凄く普通にしてる様に見えたよ。」
「内心、どきっとした。オレ妹とか居ないし。」
「…おにいちゃん。」
「落とすよ?」
「あ、嘘。明神さん。」
姫乃はふふふと笑って、明神の肩に顔を埋める。
明神が口を尖らせ拗ねた顔をする。
姫乃はそれを背中越しに感じながら、両手でしっかりとしがみついた。
「私もねえ、口が変な感じしたよ。一人っ子だったし。」
「おー、そうかそうか。」
「いいなあ。こんなお兄さんいたら、私甘えちゃうなあ。」
「ほー、そうかそうか。」
「おにいちゃん~。」
「何だ妹よ。」
「おにいちゃん~。」
「おう、何だ妹よ。」
「おんぶ~。」
「してるだろ?」
姫乃の相手を軽くしながら、「酔っ払ってるみたいだな」と明神は思った。
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