日々の事等
オチを決めずに書いているのは企画と一緒なんですが。
やっと終わりそうです。
思ったより長くなりました。
オチつけれなくなるかとドキドキしました。
やっと終わりそうです。
思ったより長くなりました。
オチつけれなくなるかとドキドキしました。
「流行り病」
温まったお粥と薬を持って、明神は改めて姫乃の部屋へと向かった。
「入るぞ~。」
寝ているのか起きているのかわからなくて、呼びかけた声は小さくなった。
薄く姫乃が目を開ける。
「飯持って来たよ。食わねえと薬飲めないだろ?」
横になっている姫乃の側にあぐらをかいて座ると、姫乃がゆっくりと首を動かし縦に振った。
「起き上がれるか?」
聞こえるか聞こえないかわからない位の大きさで姫乃は「うん」と言い、ゆっくりと起き上がる。
顔が赤い。
目が腫れぼったくて潤んでいる。
手渡したお粥をゆっくり食べながら、ふと姫乃が止まる。
「あ、明神さんはご飯食べた?」
「まだ。これから食うよ。」
「私、ついてて貰わなくても食べれるし、食べて来たら?」
「どうせこれ下に持って下りるし。あんま気ィ使わなくてもいいぞ、オレには。」
「…気を使ってるつもりはないけどなあ。」
そこで会話が無くなった。
暫く黙って姫乃が黙々とお粥を口に運ぶのを眺める。
「…あのね、食べるところ、あんまりまじまじと見られるの、ちょっと恥ずかしい。」
「え。あ!ああゴメン!!」
「恥ずかしい」という単語が恥ずかしい。
明神はあぐらをかいたままぐるんと体を回転させ姫乃に背を向ける。
何もそこまでしなくてもと思いながら姫乃は笑った。
「ふふ。」
「…あのなあ。」
「ゴメン。だって。」
「だってもヘチマもねえ。笑うなら見るぞ。メッチャ見るぞ。」
「あはは。やめて。」
姫乃の手を取り、顔を覗きこむと姫乃が逃げる。
逃げる顔を追っていくと、姫乃の手からぽろりとお茶碗がこぼれた。
『あ。』
お粥が残り僅かだった事が幸いして、大した被害は出なかったけれど、布団の上にベトリとお粥がこぼれる。
「エージやアズミに何にも言えねぇな、こりゃ。」
濡れた布巾で布団を叩く。
「シミになったらゴメンなあ~。」
「もう殆ど食べてたし、いいよ、明神さん。もうそのくらいで。後はやるから。」
明神の手が止まる。
「…もういいよ、とか、言わなくていいぞ。」
「え?」
「その方が嬉しい。」
「あ、でも。」
「でもじゃなくて、もっと甘えて。って言うか、頼りにして欲しいってか、その。」
言葉の途中で姫乃が俯いた。
あんまり姫乃が遠慮するから、ついつい言ってしまったけれど、姫乃の反応を見ると弱腰になってしまう。
「あ、オレ何言ってんだかな。えっと。」
「ありがとう。」
姫乃が笑った。
「…お、おう。」
熱でぼんやりしている姫乃が笑うのを見るのはこれで何度目かわからないけれど、今の笑顔は「本物」だと思った。
薬を飲ませ、用事を済ませると部屋の電気を消して明神は立ち上がる。
「おやすみ。」
小声で言うと、暗闇の中で姫乃が首を縦に振るのが見えた。
階段を降りると待っていたのは子供達。
「遅かったな。ヒメノちゃんと飯食ったのか?」
「食ったよ。もう寝るって。」
「ヒメノ治る?お薬苦いの飲んだの?」
「飲んだぞ~。そのうち良くなるからな。」
「そんで…明神。お前も顔赤いけど、伝染ったんじゃねーだろな。」
「あ?」
「馬鹿は風邪ひかねえって言うけど、お前も生きてんだから注意しろよ。」
自分では全く気が付かなかった。
風呂場の鏡で確かめてみると、たしかに顔が赤い、そして熱い。
ついでに動悸も激しい。
もう少し言うと、とても幸せな気持ちだ。
浮かれている。
「…ああ、オレも流行り病に感染した。」
呟くと管理人室へと向かう。
あの笑顔が効いた。
「ひめのんが治ったら看病して貰おう。」
熱い顔を冷やす為に水を飲むと、腹が鳴った。
明神は今朝食べかけてやめたカップラーメンを取り出した。
すっかり冷めたヤカンの水をもう一度沸騰させるとカップに注ぐ。
待つ事三分。
久々の一人で摂る食事と、カップラーメン。
静かだと思った。
早く姫乃が良くなればいいと思う。
そうしたら、またこの静かな食卓は明るいものになるだろう。
そして、顔を合わす度にきっと感染した病気の症状が現れるだろう。
動悸、息切れ、眩暈。
後、ちょっと幸せな気持ちに。
豚骨味のラーメンをすすりながら、とりあえず明日の朝食をどうするか、明神は頭を巡らせた。
温まったお粥と薬を持って、明神は改めて姫乃の部屋へと向かった。
「入るぞ~。」
寝ているのか起きているのかわからなくて、呼びかけた声は小さくなった。
薄く姫乃が目を開ける。
「飯持って来たよ。食わねえと薬飲めないだろ?」
横になっている姫乃の側にあぐらをかいて座ると、姫乃がゆっくりと首を動かし縦に振った。
「起き上がれるか?」
聞こえるか聞こえないかわからない位の大きさで姫乃は「うん」と言い、ゆっくりと起き上がる。
顔が赤い。
目が腫れぼったくて潤んでいる。
手渡したお粥をゆっくり食べながら、ふと姫乃が止まる。
「あ、明神さんはご飯食べた?」
「まだ。これから食うよ。」
「私、ついてて貰わなくても食べれるし、食べて来たら?」
「どうせこれ下に持って下りるし。あんま気ィ使わなくてもいいぞ、オレには。」
「…気を使ってるつもりはないけどなあ。」
そこで会話が無くなった。
暫く黙って姫乃が黙々とお粥を口に運ぶのを眺める。
「…あのね、食べるところ、あんまりまじまじと見られるの、ちょっと恥ずかしい。」
「え。あ!ああゴメン!!」
「恥ずかしい」という単語が恥ずかしい。
明神はあぐらをかいたままぐるんと体を回転させ姫乃に背を向ける。
何もそこまでしなくてもと思いながら姫乃は笑った。
「ふふ。」
「…あのなあ。」
「ゴメン。だって。」
「だってもヘチマもねえ。笑うなら見るぞ。メッチャ見るぞ。」
「あはは。やめて。」
姫乃の手を取り、顔を覗きこむと姫乃が逃げる。
逃げる顔を追っていくと、姫乃の手からぽろりとお茶碗がこぼれた。
『あ。』
お粥が残り僅かだった事が幸いして、大した被害は出なかったけれど、布団の上にベトリとお粥がこぼれる。
「エージやアズミに何にも言えねぇな、こりゃ。」
濡れた布巾で布団を叩く。
「シミになったらゴメンなあ~。」
「もう殆ど食べてたし、いいよ、明神さん。もうそのくらいで。後はやるから。」
明神の手が止まる。
「…もういいよ、とか、言わなくていいぞ。」
「え?」
「その方が嬉しい。」
「あ、でも。」
「でもじゃなくて、もっと甘えて。って言うか、頼りにして欲しいってか、その。」
言葉の途中で姫乃が俯いた。
あんまり姫乃が遠慮するから、ついつい言ってしまったけれど、姫乃の反応を見ると弱腰になってしまう。
「あ、オレ何言ってんだかな。えっと。」
「ありがとう。」
姫乃が笑った。
「…お、おう。」
熱でぼんやりしている姫乃が笑うのを見るのはこれで何度目かわからないけれど、今の笑顔は「本物」だと思った。
薬を飲ませ、用事を済ませると部屋の電気を消して明神は立ち上がる。
「おやすみ。」
小声で言うと、暗闇の中で姫乃が首を縦に振るのが見えた。
階段を降りると待っていたのは子供達。
「遅かったな。ヒメノちゃんと飯食ったのか?」
「食ったよ。もう寝るって。」
「ヒメノ治る?お薬苦いの飲んだの?」
「飲んだぞ~。そのうち良くなるからな。」
「そんで…明神。お前も顔赤いけど、伝染ったんじゃねーだろな。」
「あ?」
「馬鹿は風邪ひかねえって言うけど、お前も生きてんだから注意しろよ。」
自分では全く気が付かなかった。
風呂場の鏡で確かめてみると、たしかに顔が赤い、そして熱い。
ついでに動悸も激しい。
もう少し言うと、とても幸せな気持ちだ。
浮かれている。
「…ああ、オレも流行り病に感染した。」
呟くと管理人室へと向かう。
あの笑顔が効いた。
「ひめのんが治ったら看病して貰おう。」
熱い顔を冷やす為に水を飲むと、腹が鳴った。
明神は今朝食べかけてやめたカップラーメンを取り出した。
すっかり冷めたヤカンの水をもう一度沸騰させるとカップに注ぐ。
待つ事三分。
久々の一人で摂る食事と、カップラーメン。
静かだと思った。
早く姫乃が良くなればいいと思う。
そうしたら、またこの静かな食卓は明るいものになるだろう。
そして、顔を合わす度にきっと感染した病気の症状が現れるだろう。
動悸、息切れ、眩暈。
後、ちょっと幸せな気持ちに。
豚骨味のラーメンをすすりながら、とりあえず明日の朝食をどうするか、明神は頭を巡らせた。
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