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意外と長期物になりそうな気配が出てきました…。
短い話をパッと書くつもりだったんですが。
「流行り病5」

姫乃の部屋を出て階段を降りると、下の階でエージとアズミが待っていた。

「ヒメノ、そんなに悪いのか?」

改めて心配そうにしているエージとアズミに、明神は笑ってみせる。

「まあ、喋る元気はあるみたいだけど、結構感染力の強い流行り病みたいだからなあ。ひめのんのガッコもそれで学級閉鎖してるって話だよ。」

「ヒメノ、直ぐ治る?」

アズミが明神の服を掴んで引っ張る。

「薬局の人の話だと、ニ、三日熱が出るらしいからもう少しだな。アズミ、ひめのん元気になるまで遊んでもらうの我慢しろよ~。」

「…あい。」

「そっか。後ニ、三日かかるのか。」

姫乃がそこそこ元気そうに話しかけてきたので、ついつい一緒に盛り上がってしまった。

明神の剣幕を見て、ああしまったと後から後悔したのだけれど。

「それで、明神看病とか出来んのか?ガクが帰って来たら何か知ってるだろうけど。」

「任せろ!薬局の店員に色々聞いてきた。まず、寒くない様にあったかくしてだな…。」

「うんうん。」

「でもって、頭は冷やすんだ。アレ、何か矛盾してね?」

「してねぇ!!!」

エージが叫ぶ。

「みょーじん、ヒメノ看病出来るの?」

「で、出来るに決まってんだろ!」

アズミにまで疑われ、少し寂しい気持ちで明神は買い物袋を手に取った。

何にしろ看病のイロハは全てメモしてある。

薬局の店員には怪しい目で見られたが背に腹は変えられない。

だって、風邪なんかひかねえんだから、仕方ねぇだろ!!

メモを見ながら買ってきた保冷剤を冷凍庫に突っ込み、レトルトパウチのお粥を温める。

お粥を温めている間に急な客用の布団を一枚引っ張り出し、眠る姫乃にかけに行く。

「…。」

気になって額に手を当てると、先ほどより熱が上がっている。

保冷剤が冷えるのを待っていられない。

氷を適当な袋に突っ込むと、それをタオルで包む。

それを頭に乗せてやり、汗をかいた首元を拭うと少しだけボタンを緩めてやる。

うっすらと目をあけた姫乃が、笑った。

理由はわからないけれど、涙が出そうになった。

「苦しかったら、辛い顔していいんだぞ、ひめのん。」

小さな声は姫乃の耳には届かなかった。

6へ続く。




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