日々の事等
サクサクと二話目です。
後、遅れたー!!エージハピバー!!
大人になった彼を物凄く見てみたい!!
「流行り病2」
運ばれてきた食事をペロリと平らげ、明神は落ち着いた腹を撫でた。
食後は特にやる事のない姫乃はアズミやエージ達と遊び、明神は黒いコートに袖を通し仕事に出かける。
「今日は早くからの仕事だから、多分そんなに遅くならないで帰れると思う。」
「わかった。晩御飯用意してまってるね。」
さながら新婚夫婦の会話じゃあないかと明神はまんざらでもない。
玄関先まで出て、手を振って見送る姫乃。
振り返ると笑いかける姫乃の姿を目に焼きつけ、足取り軽く「現場」へ向かう。
「帰ってからの楽しみ」が増えてから、つまり姫乃が引っ越してきてからだが前にも増して仕事が楽しくなった。
仕事自体は死者と向き合う事だから、変わらず辛い事もあるし、やり切れない想いをする事もあるけれど、帰る場所と向かえてくれる人と、それから暖かいご飯や部屋の明かり。
思わず、鼻歌を歌ってしまいそうになる。
今日の仕事は成仏出来ない霊をあちら側へと導くもの。
「現場」に居たのはまだ若い、20代前後の女性だった。
「や、お嬢さん。どしたあ?こんな所で。」
しゃがみ込み、泣きそうな顔をしたその女性が振り返った。
明神も地べたに座り、女性と目線を合わせて話をする。
最初、こういった場合必ず言われるのが「貴方は私がみえるの?」という事。
死んで、気が付くとここに居て、でも誰も自分に気が付かない。
だんだん、恐ろしくなって悲しくなって少しづつ、目の前が暗くなる。
「そっか、良かったよ。君が陰魄になっちまう前に会えて。」
「?イン…?何?」
「いいや、こっちの話。」
最後は笑って。
「でも良かった本当に。貴方が来てくれて。けっこう男前だし、生きてる時に会いたかったな~。」
「生きてる時に会ってたら、多分君オレの事避けると思うぞ。ご近所様からは電波系の人間だって思われてるからね。」
「あはは!誰も居ないところに話しかけちゃってるからね~。」
「居るけどな。オレのみえてるモンは、本当に。勿論君もね。」
「…ホント、知らなかった。参っちゃうよね。…でも、ありがとう。」
女性が微笑み、光の泡になる。
明神はそれが高く高く昇って行くのを見送った。
きりの無い作業だけれど、やっぱりこの瞬間はいつも不思議な気持ちになる。
帰り、十味の元へ寄って、両手を差し出すと果物の缶詰めが幾つか乗せられた。
「ジイさん、たまにはオレ、紙とか硬貨が欲しいなあ。後食いモンなら肉がいい。肉が。」
「お前は肉より野菜を食え。毎日カップ麺ばかり食いおって…今タチの悪い風邪が流行ってるらしいからの。バランス良く飯を食わにゃあ…ま、明神にゃ関係ないか。」
「何だその馬鹿は風邪ひかない的な言い方は。それに最近は結構色々ちゃんと食ってるよ!」
そう言うと十味は大きく口をあけて笑う。
「嬢ちゃんに作ってもらってるのか!良かったなあ、明神!じゃあ嬢ちゃんにお土産でもう一つ持っていけ!」
更に渡される缶詰め。
報酬は元々そんなに期待していた訳ではない。
しぶしぶとは言えせっかくの貰い物なのでそれをポケットに一つ二つと突っ込んだ。
ボコボコになるし何だか服が重い。
口を尖らせて「じゃあまた」と言うと、「おうよ。助かった、また頼むぞ」と、十味。
「…調子いいジーさんだ!」
悪態吐きながら、こういう瞬間も、明神は嫌いではなかった。
3に続く
運ばれてきた食事をペロリと平らげ、明神は落ち着いた腹を撫でた。
食後は特にやる事のない姫乃はアズミやエージ達と遊び、明神は黒いコートに袖を通し仕事に出かける。
「今日は早くからの仕事だから、多分そんなに遅くならないで帰れると思う。」
「わかった。晩御飯用意してまってるね。」
さながら新婚夫婦の会話じゃあないかと明神はまんざらでもない。
玄関先まで出て、手を振って見送る姫乃。
振り返ると笑いかける姫乃の姿を目に焼きつけ、足取り軽く「現場」へ向かう。
「帰ってからの楽しみ」が増えてから、つまり姫乃が引っ越してきてからだが前にも増して仕事が楽しくなった。
仕事自体は死者と向き合う事だから、変わらず辛い事もあるし、やり切れない想いをする事もあるけれど、帰る場所と向かえてくれる人と、それから暖かいご飯や部屋の明かり。
思わず、鼻歌を歌ってしまいそうになる。
今日の仕事は成仏出来ない霊をあちら側へと導くもの。
「現場」に居たのはまだ若い、20代前後の女性だった。
「や、お嬢さん。どしたあ?こんな所で。」
しゃがみ込み、泣きそうな顔をしたその女性が振り返った。
明神も地べたに座り、女性と目線を合わせて話をする。
最初、こういった場合必ず言われるのが「貴方は私がみえるの?」という事。
死んで、気が付くとここに居て、でも誰も自分に気が付かない。
だんだん、恐ろしくなって悲しくなって少しづつ、目の前が暗くなる。
「そっか、良かったよ。君が陰魄になっちまう前に会えて。」
「?イン…?何?」
「いいや、こっちの話。」
最後は笑って。
「でも良かった本当に。貴方が来てくれて。けっこう男前だし、生きてる時に会いたかったな~。」
「生きてる時に会ってたら、多分君オレの事避けると思うぞ。ご近所様からは電波系の人間だって思われてるからね。」
「あはは!誰も居ないところに話しかけちゃってるからね~。」
「居るけどな。オレのみえてるモンは、本当に。勿論君もね。」
「…ホント、知らなかった。参っちゃうよね。…でも、ありがとう。」
女性が微笑み、光の泡になる。
明神はそれが高く高く昇って行くのを見送った。
きりの無い作業だけれど、やっぱりこの瞬間はいつも不思議な気持ちになる。
帰り、十味の元へ寄って、両手を差し出すと果物の缶詰めが幾つか乗せられた。
「ジイさん、たまにはオレ、紙とか硬貨が欲しいなあ。後食いモンなら肉がいい。肉が。」
「お前は肉より野菜を食え。毎日カップ麺ばかり食いおって…今タチの悪い風邪が流行ってるらしいからの。バランス良く飯を食わにゃあ…ま、明神にゃ関係ないか。」
「何だその馬鹿は風邪ひかない的な言い方は。それに最近は結構色々ちゃんと食ってるよ!」
そう言うと十味は大きく口をあけて笑う。
「嬢ちゃんに作ってもらってるのか!良かったなあ、明神!じゃあ嬢ちゃんにお土産でもう一つ持っていけ!」
更に渡される缶詰め。
報酬は元々そんなに期待していた訳ではない。
しぶしぶとは言えせっかくの貰い物なのでそれをポケットに一つ二つと突っ込んだ。
ボコボコになるし何だか服が重い。
口を尖らせて「じゃあまた」と言うと、「おうよ。助かった、また頼むぞ」と、十味。
「…調子いいジーさんだ!」
悪態吐きながら、こういう瞬間も、明神は嫌いではなかった。
3に続く
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